電子カルテ …
私がパソコンに興味を持ったのは約20年前です。カード型データベース「Ninja(忍者)」というソフトに出会ったことがきっかけです。仕事はもちろん趣味の分野においても,もう何でも手当たり次第にデータを入力し,データを扱う楽しさを覚えました。その後はリレーショナル型データベース「桐」に乗り換え,さらに奥深いデータベースの魅力に惹かれました。データベースソフトをうまく利用すれば,データの並び替えや抽出を行ったり,集計したりしてデータを解析できるだけではなく,データを矯めつ眇めつしながら,アイデアをひねり出したり,問題点を探し出すツールとして使えることがわかったからです。
電子カルテの背後には,高性能のデータベースが存在しており(巨大なExcelの表を思い浮かべてください),膨大なデータが格納されています。電子カルテソフトは,そのデータベースと,人間の間に介在して,データの受け渡しを行っています。個あるいは集団のデータベースとして電子カルテを考えた場合,入力した情報に比べて,閲覧したり,加工したり,引き出したりできる情報がなんと少ないことか。情けないくらいです。カルテを記載するメディアを,紙からハードディスクに置き換えるという考え方でスタートすると,こういうことになるのでしょう。
電子カルテの3原則(見読性,保存性,真正性)を満足するかどうかは,あくまで紙カルテとの比較においての話です。電子化する際に紙カルテの原則を保証する条件にすぎません。3原則が満たされていると言われても(実はこれもなかなか難しいのですが),それだけで,その電子カルテが優れていると考えてはいけません。電子カルテの優劣を判断するとき,データベースソフトとして使えるソフトであるかどうかという視点が大変重要だと思っています。この点については後日まとめてみようかと思っています。
ちなみに,当院の電子カルテでは,患者様一覧表(基本台帳のようなもの)もすぐには閲覧できません。またCSVなどでファイルを出力することもできません。 仕方ないので,「桐」にボチボチと入力しています。二度手間で悲しいです。