新型コロナ(COVID-19)2025の流行状況と受診の目安

2025(/26)シーズンの新型コロナについて、流行の傾向、症状、検査・治療、ワクチン情報をまとめました。
特に重症化リスクが高い高齢者や基礎疾患のある方に向け、受診の目安をわかりやすく解説します。
馬場内科(福岡市城南区 内科・消化器内科)

① 概要

2023年5月の「5類」移行後も、季節ごとに流行を繰り返しています。
外来対応は通常医療の枠組みで行われ、家庭内の感染対策は状況に応じて自主的に行うことが推奨されています。

② 最近の流行の流れ

  • 2024年:JN.1系(KP系を含む)が主流。
  • 2025年:年初はXEC → 春にLP.8.1が増加 → 初夏以降はNB.1.8.1(VUM)が各地で報告。

③ 重症化の頻度・入院の概況

  • 2024年末以降の入院患者の約85%が60歳以上。ICU利用も高齢層が中心。
  • 若年~中年で基礎疾患のない方の重症例は少なく、重症化は高齢層が主体です。

※入院データは基幹定点医療機関による報告(2024/12/30以降)。

④ 症状の傾向

咽頭痛・発熱・咳・全身倦怠感が中心。嗅覚・味覚障害は減ったものの、依然として一定数報告されています。
高齢者や免疫不全の方では肺炎や低酸素を来すことがあります。

⑤ ワクチンと予防(2025/26)

定期接種(B類)は65歳以上60〜64歳で特定基礎疾患のある方が対象。
ワクチンは1価(JN.1系)が基本で、KP/LP.8.1などに対応しています。
基礎疾患のない一般成人では接種必要性が相対的に低下していますが、高齢者・基礎疾患・妊娠・免疫不全の方には引き続き重要です。

⑥ 受診・相談の目安

  • 息切れ・SpO₂低下、高熱が続く、食事や水分がとれない → 早めに受診
  • 高齢・妊娠・基礎疾患 → 発症早期に受診(抗ウイルス薬の可否を相談)
  • 発症後5日間は家庭内で特に感染対策を強化

⑦ 検査

  • 抗原定性検査:発症早期〜数日で有用。自宅用キットもあるが陰性時は再検討を。
  • PCR/NEAR等:感度が高く、臨床判断や就学・就労調整に活用。

⑧ 治療(外来中心)

  • 解熱鎮痛、十分な水分・栄養、安静など支持療法が基本。
  • 重症化リスクのある方には、発症早期に抗ウイルス薬を検討。
  • 細菌感染合併が疑われる場合のみ抗菌薬を使用。

⑨ 自宅療養のポイント

  • 水分・栄養をこまめに摂取、解熱鎮痛薬を適正に使用、十分な休養。
  • 家庭内換気、必要時のマスク、共有物の消毒。

⑩ 予防(まとめ)

  • 対象:65歳以上、または基礎疾患がある60〜64歳 → 年1回の定期接種推奨。
  • 2025/26シーズン:1価(JN.1系)が基本。
  • 体調不良時は休養、咳エチケット、換気を。

⑪ 長引く症状(いわゆる後遺症)

  • 倦怠感、咳・息切れ、嗅覚・味覚障害、集中力低下、睡眠障害など。
  • 段階的な運動・リハビリ、睡眠・栄養管理で改善を図る。
  • 生活に支障が続く場合は医療機関で相談を。

⑫ 感染した場合の対応

  • 同居家族に高リスク者(高齢者・基礎疾患・妊婦等)がいる場合 → 接触を減らし換気や部屋分けを工夫。
  • 学校・職場復帰目安:発症後5日+症状軽快から24時間。
  • 家庭内では食事・入浴時間をずらす、リネン類は分けて洗濯。

感染症の診療についてはこちら

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